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夏だというのに凍えるような温度にエアコン設定された寒くて薄暗い部屋に、金髪全裸の男が鎖で拘束されていた。背中には翼を拡げた鳳凰の刺青が刻まれていたが、寝台に押し付けられているため模様を見ることは難しい。それより目立つのは、へその下に新たに刻まれたばかりの淫紋だ。
さきほどまでいた彫紋技師は用事を終え、逃げるように姿を消している。この場にいるのは淡い緑色のノースリーブワンピースを着た羽鳥と彼女の義理の兄、紫雀のふたりきり。
くすぐったそうに身をよじる全裸の義兄を押さえつけて、羽鳥はクスクス笑う。
「これでようやくあたいだけのお義兄さまですね」
「は、羽鳥……なぜ」
「なぜって、紫雀義兄さまがいけないんですよ。あたいというものがありながら雀座のために命張ろうなんて愚かでしかありません。あたいは気が短いんです。これでも成人するまで待ったんです、それなのにお義兄さまったらあたいを置いて出ていこうとするなんて……」
「そ、それには理由がだな」
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