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昼間は過ごしやすいが、肌寒くなってきた。10月11日水曜14時、天気は快晴。いろはが精神科受診。
次に薬局を訪れた時もTVはトルコ行進曲の番組。愉快な指揮者が棒を振っている。
彼女の名前が呼ばれた。
「坂町さん」
「はい」
「はい」
「はい」
返事が3回重なった。
この時、御門には連れがいた。彼と同世代、細身長身の男性。絵画の中の聖職者のように透き通った肌をして、やはり魅惑的な青年だった。癖のありそうな直毛の凪に比べて、二人目の彼は同じようなショートヘアだったが、毛質が細く、ふわふわとした髪型だった。
「あなたは」
市松がうろたえると、新しい彼は「兄です」と答えた。
「その薬、オレが代わって飲みましたが、いろはと同じ、睡魔と電磁波被害に遭いました。薬物が混入されています」
「くっ、薬は眠くなるものです」
「就寝時の電磁波被害については、どう説明なさいますか?」
「さあ、どうしてでしょう。精神科のお医者さんにご相談なさっては」
「わかりました。いろは、行こう」
いろはは薬を受け取る。御門、あと一人と一緒に、トルコ行進曲に送られ薬局を後にした。
通り道で尋ねた。
「御門さん、その方は」
「若鷺仁。オレと同じブルーフェニックス隊員だ」
「よろしく」
仁が眩しい笑みを浮かべた。
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