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一先ずその場はそれで解散となった。 皆さん協力は惜しまないと言ってくださったけど、じゃあ具体的に何をすれば良いのかということになると現状ではわからないことが多すぎるし、私の体調もとてもではないけど万全と言えるものではないからだ。 アンネさんやコーネリアさんも今は回復してるとは言え重症だったしね。 本当に助かって良かったとは思うけど、あの出来事は間違いなく精神的にも大きな傷を残してるだろうし、あの場では普通にしてたけどエミリーちゃんやニーナちゃんだってそれは同じはず。 こういった時のためのメンタルケアの方法とかもあるんだろうけど、その辺のことはさっぱりわからないのよね。 今更ながら勉強しておけば良かったとは思うけど、それを言っても仕方ないし。 皆さんも気にかけてくれるだろうけど、私も出来る限りそうしたいと思う。 でも、私の場合逆に気を遣わせると言うか、かえって罪悪感を煽ることにもなりかねないとも思うから、他の皆さんに相談しながらの方がいいかな。 そして、寝かされていた部屋を離れ、今はカレンさんに付き添ってもらって辺境伯邸内の自室へと向かっているところ。 黙って付き添ってくれてはいるけど、カレンさんからずっと何かを言いたそうにしている気配が伝わってくる。 きっと聞きたいことがたくさんあるんだろうなって思う。 ただ、私としてもどう答えれば良いのかわからないことが多いし、体調とかそのあたりのことも考慮して聞かないでくれてるんだと思う。 もちろん、彼女自身がまだ混乱している部分も大きいのはあるんだろうけど、それを抜きにしても彼女は本当に優しい人だよね。 サキの中にいた時もそれはずっと感じていたし、サキもカレンさんのことは本当に信頼してた。 同時にとても大切に思ってたし。 そして、これから戻る自室ではサキが同じく大切にしていた人達と顔を合わせなくてはいけない。 レイシアさんとソフィアさんだ。 さっきまでいた部屋にいるものだとばかり思ってたけど、他の皆さんとの立場の違いとかを考慮して遠慮してくれていたみたい。 でも、私が目覚めたことやサキではなくて「私」の人格が出ていることとかは連絡がいってるみたい。 たぶん、サキの部下だった元近衛の何方かが伝えてくれたんだと思う。 お二人は、私のことを見てどう思うだろうか。 なんと言っても、ここ最近サキと一番近くで接していたのは彼女たちだ。 日々を幸せに過ごし、穏やかになっていくサキの変化もずっと見て来ただろうし、それだけに私に対して受け入れられないと考えるかもしれない。 それは仕方のないことだと思うし、そのことを責めるつもりは全くないけど、サキをたすけるためには彼女たちの協力も絶対に必要になる。 だから、たとえ私のことは受け入れてもらえなくても、せめて話だけは聞いてもらって協力関係を築かないと。
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