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そのころの体育の授業はドッジボール。
みんな盛り上がる授業だ。
クラスを
攻撃する側と守る側の2つのグループに分けて投げ合う。
グループ分けをしたあと
私は先生に呼ばれた。
「攻撃する側のグループにあなたがリーダーになって。
みんなをよろしくね」
と突然言われた。
ドッジボールのルールさえ知らない私は
どうしたらいいかまるでわからない。
仲良しグループの中心的な位置にいても
それはただふざけてオチャラケあっているだけで
クラスの半分を勝つために引っ張ってていくなんて
考えも及ばない。
それでも先生に私は選ばれた。
頼られてる。
しっかりやらなきゃと奮起した。
どの位置からどんな強さでどこに向かって
ボールを投げるか…。
1人でみんなに言ってまわって
まるっきり空回りだった。
私だって一生徒なのだ。
突然友達を指導なんてできない。
上手く投げられないと不平が出る。
「次どうすればいいの?」
私が答えるまで誰も動こうとしない。
ホワイトラインの枠の中から動かずにモンクだけ言うクラスメイトに
私は1人、蜂のようにブンブンと走り回った。
枠の中、
かけずり回りながら先生を見たら
私の好きな先生は
少し離れたところから
私達を冷めた目で眺めているだけだった。
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