世界でたった1人の私

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腕のわきに刺している体温計を外し 先の方にハァっと息をかけた。 体温は36.5度 いたって平熱。 体温って 息を吹きかけたくらいじゃ上がらないのか。 あー、もう、私ってなんて健康体。 これじゃ学校を休む理由にならないじゃない。 お腹痛いことにするか。 いや、その手は昨日使った。 どうする? ベットの中でゴロンと寝返りを打ったら 目の前のドアがガチャッと開いた。 やばっ ドアから顔を出したお母さんと目が合っちゃったよ。 「冷蔵庫の中に卵焼きとシャケ 入ってるから。 ご飯はパックご飯をチンしてね。 じゃ、仕事行ってきま〜す」 お母さんのにっこり笑顔付き。 なんのにっこり? ちょっと不気味なんですけど。 お母さんはパタンとドアを閉め トントントンと階段を下に降りていく。 少しして 家のドアが閉められ 外からガチャガチャっと鍵を掛ける音がした。
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