夏を終わらせて

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 「行っちゃった・・・」 ふと過ぎた風に、ハルカミさんが二の腕を抱えました。 「ぼくらも帰ろうか」 フユカミさんに肯き返し、ひんやりした肌の感触にしんみりと漏らします。 「夏が、終わったのね」 「まだだ!」 驚いて振り向くと、ナツカミさんです。不死鳥のごとく今むくりと起き上がりました。 「オレのハートに火をつけといて」 肩を震わせていますね。先ほど、かばってくれたアラシさんの一途な姿がくっきりと眠気の吹っ飛んだ目に焼き付いている模様です。夏の日差しが陰っても、すぐには消えない、日焼けの跡のように。 「まだだろ。たとえ夏が終わっても。オレたちはまだ、終わってないだろ!」 怒涛の勢いでアラシさんの後を追った! 「アイツ年中暑苦しいわぁ」 フユカミさんとハルカミさんを見送ったアキカミさん、やれやれと思い切り伸びをします。やっと静かになりました。  リーリリリ。コロコロコロ。  やさしく鼓膜に触れる音色にしばし耳を傾けます。 「秋の夜は長いものね」 満足そうな微笑みです。 「ゆっくり動画見ようっと」 終
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