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目を開けると真っ白の天井。 頭が少し痛い。 いや、頭だけじゃない。 身体のあちこちが痛い。 また骨折でもしたんだろうか。 ぼーっとしてると看護師さんが来てバタバタと慌ただしい音がした。 そういえば俺は車に乗ってたんだっけ? 「廉!」 なんだ?彼の声がする。 まだ夢の中か何かなのか? でもその声はずっと聞こえてくる。 けどなんだかまだ眠たくて俺はまた目を閉じた。 そして次に目が覚めると誰かに手を握られていた。 見覚えのあるつむじが近くにあった。 「諏訪。」 そう呼ぶとのそっと動いて俺の目を見た。 その瞬間彼の目から涙が溢れた。 「よかった。」 「...なんでいんの?」 「なんでって、会いたかったからだよ。」 「...自分から消えたくせに。」 「それを言われたらなにも言えなくなる。」 「...だよな。来てくれてありがとう。」 「死ぬかと、思った。」 「死なないよ。」 「違うよ、俺が死ぬかと思った。心臓止まりそうだった。」 俺は彼の心臓に手を当てた。 「止まってなくてよかった。」 「...廉、愛してる。」 彼は唐突にそう言うと俺に抱きついてきた。 何を勝手なことを...そう思うより先に、俺は彼を許してしまっていた。 彼から父親に会った話を聞いた。 訥々と話す横顔をずっと見ていた。 退院して1ヶ月経った頃、彼はうちにやってきた。 「しばらくは遠距離だな。」 と神戸土産を広げながら言った。 「遠距離って俺たち付き合ってるの?」 と意地悪に聞くと、 「なに、それ仕返し?廉て結構根に持つタイプなんだね。」 と笑われた。 こいつは思ったより図太い。 そして俺なんかより強い。 「俺が強くなったのは廉のおかげだからね。」 「え?」 「好きな人に嫌いだって言われたら誰だって強くなるよ。」 「あぁ、そんなこと言ったっけ?お前こそ根に持つタイプだな。」 「俺は根に持つよ。覚えといてね。じっくり仕返しするから。」 「出会った頃はもっと可愛かったのに。」 「猫被ってたからね。もうそんな必要ないから。」 「魔法もな。」 「ちょっとぐらい使えてたいけど。」 「使わなくてもお前の思いどおりだよ俺は。」 「そうでもないけど?...でも、いいんだよ。思いどおりにならない方が楽しいから。」 彼に見つめられると俺は離れられなくなる。 でも...悪くない。 だってどうしようもなくその目に引き寄せられてしまうから。
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