晩夏

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その後、村人の1人が選ばれて、鬼になる。 あいの達を村八分にした人間を、鬼となった村人が食い散らかすのだ。 鬼となった村人が死ぬと、また別の村人が鬼となる。 宮司は、どうにかこの連鎖を止めれないかと、奥の間に立ち寄る。 すると、奥の間の中央に蒼い光を纏った太い幹が伸びていた。 そうか、、、この親子の力を借りよう。 宮司は、鬼となった村人を奥の間に連れていき、鬼鎮の祝詞を唱える。鬼鎮の祝詞は、宮司が心を込めて作った。 村人は、鬼化するが、じわじわと太い幹が蒼く光り、癒す。 この時鬼化した村人は、毎年夏の終わりに鬼鎮をする事で一度も人を食べる事は無かった。 それからは、鬼が現れたら、奥の間で鬼鎮を繰り返す。 浅間家ではそんな伝承が引き継がれていた。 ただ、ここ数十年、村人から鬼が出る事はなくなる。 鬼の鎮魂が成功したのだと思っていた。 だが、鬼は奥底にただ身を潜めていただけだったのだ。 「宮部、これから毎年8月31に、鬼鎮を行う。手伝ってくれるか」 「承知しました」
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