晩夏

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宮司は、自身の着物を整えた後、美羽を放置して出て行った。 宮司は、美羽はこの儀式の後最低1ヶ月はこの奥の間に居なければならない。 村人誰にも会うことはまかりかねんと言い、両親でさえ近づけなかった。 宮司は美羽が死なないように適度な食料と水を与えた。 そして、毎日毎日何度も美羽を犯し続けた。 1ヶ月以上経ち、季節も晩夏に近づいて来た時だった。 村人が、この儀式の成功を確かめる為に、浅間神社に集まった。 美羽の両親も、娘が無事お役目を果たしたか心配し、じっと、奥の間を見つめる。 ぎゃあああああああああァ"ァ"ァ"ァ"ァ" 奥の間から、この世のものではない、断末魔のような叫び声が聞こえてきた。 村人達は驚き、奥の間に駆け寄り、そっと扉を開けた。 その中での光景が異様すぎて、村人達は絶句する。 美羽が身体中血を浴びながら、宮司の身体を食いちぎり、その肉片をむしゃむしゃと食べていた。 可愛らしい顔は、鬼のように表情をゆがめ、額には太い青筋がたっている。 「ぎゃーー!」 思わず叫び、腰を抜かした母親に、美羽は顔を向け、同じように叫ぶ。 「ぎゃああああー!!」 そして、四つん這いで母親に向かって走りだした。 村人達は、転がるようにその奥の間から出ていき、父親も母親を抱えながら逃げていった。 村長が震えながら奥の間を施錠した。
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