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「どういう事や、、、失敗したんか、、、」
村人の一人の言葉に、皆項垂れる。
「美羽、、、」
美羽の両親は、その場に泣き崩れたままでいた。
「なんと、浅ましい」
村人達の最後尾に、車椅子に座った高齢の男が、怒りに満ちた表情で村人達を見上げていた。
「清孝さん体調悪いて、、、」
清孝と呼ばれた老人は、車椅子から立ち上がり、ゆっくりと奥の間に歩く。
「あやつめ、村のみんなを、私を騙し、こんな浅ましい架空の祭りなんぞ作りおって」
清孝が、美羽の両親の元に近づくと、深深と頭を下げる。
「勤くん、百合さん。息子がほんまに申しわけない事をしました。私が命を持ってでも、美羽ちゃんを人に戻してあげるから。待っといてな」
「どういう事?」
美羽の母の問に、顔を顰める。
「100年に一度の祭りなんて無いんや。あいつが、美羽ちゃんを辱めたいがために、架空の祭りを作ったんや」
美羽の父は、清孝の胸ぐらをつかむ。
「どうゆうことや!?この儀式を成功させんと、うちら家族全員死ぬって!それだけやない!村の人達も神様の怒りを買って、死んでしまう!そう聞いて、、、」
美羽の父は、その後は言葉にならず、ずりずりとその場に崩れ落ちる。
清孝は、ゆっくりと奥の間の扉までいく。
「村長、鍵あけてくれるか」
村長は、震えながら、鍵をあける。
「清さん、、、」
「大丈夫や」
清孝が、扉を開け中に入り、そして祝詞を唱えながら扉を閉めた。
部屋の御身柱様の前で、清孝を他所目に美羽は宮司の全てを食べようと無心にかぶりついている。
清孝は、鬼鎮の祝詞を声高く唱えていく。
その祝詞と呼応するように、御身柱が蒼く光り出す。
そして、その光は、美羽の怒りを鎮ようと包み込む。
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