晩夏

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美羽は、鬼のように歪めた顔を緩め、ポロポロと涙を流し始めた。 宮司の肉片を吐き出し、血塗れの自分の身体を抱きしめて、嗚咽しながら泣く。 清孝は、更にその黒く渦巻く悪鬼を、祝い奉る事で癒しを与え、完全に人に戻す。 美羽は、気を失い、その場に倒れ込んだ。 清孝は、美羽を抱きしめる。 「ほんまにすまんかったなぁ、、、」 清孝は、美羽を抱き上げ、奥の間を出る。 両親が清孝に駆け寄り、美羽と呼びながら抱きしめる。 「大丈夫や、今気絶しとるだけやから。それとな、目覚めた時、この事は全て忘れてるはずや。だから、この祭りの事も一切口にしたらあかんで。皆も分かったな?」 村人達も、互いに顔を合わせながら、清孝の言うことを聞いた。 宮司のせいとは言えど、自分達は美羽に対してとんでもない事をしてしまったのだ。 口を噤む事しかできない。 一度、口を噤むぐと決めた事は、村人は一切話さない。 その習慣は、何十年、何百年も前から続いている。
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