0人が本棚に入れています
本棚に追加
美羽は、鬼のように歪めた顔を緩め、ポロポロと涙を流し始めた。
宮司の肉片を吐き出し、血塗れの自分の身体を抱きしめて、嗚咽しながら泣く。
清孝は、更にその黒く渦巻く悪鬼を、祝い奉る事で癒しを与え、完全に人に戻す。
美羽は、気を失い、その場に倒れ込んだ。
清孝は、美羽を抱きしめる。
「ほんまにすまんかったなぁ、、、」
清孝は、美羽を抱き上げ、奥の間を出る。
両親が清孝に駆け寄り、美羽と呼びながら抱きしめる。
「大丈夫や、今気絶しとるだけやから。それとな、目覚めた時、この事は全て忘れてるはずや。だから、この祭りの事も一切口にしたらあかんで。皆も分かったな?」
村人達も、互いに顔を合わせながら、清孝の言うことを聞いた。
宮司のせいとは言えど、自分達は美羽に対してとんでもない事をしてしまったのだ。
口を噤む事しかできない。
一度、口を噤むぐと決めた事は、村人は一切話さない。
その習慣は、何十年、何百年も前から続いている。
最初のコメントを投稿しよう!