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保健室の扉がガラガラっと音を立てる。
『紫悠いるか?』
担任の柳田だ。
『先生。こっち。』廉は仕切りのカーテンから顔を出して柳田に手をあげる。
『緑川についててくれたんだってな。
ありがとな。今日に限って保険医が不在だったから迷惑かけた。』
柳田は頭を掻きながら廉の方へ来て、そっとカーテンから中を覗く。
『緑川どうだ?』
『しばらく顔色悪かったけど、だいぶ落ち着いてきたと思う』
あれから保健室に来たが、保険医があいにく不在のため仕方なく緑川をベッドに休めて様子を見ていた。顔色が青く、少し震えてるようだったからだ。
ごめん。迷惑かけて。そう緑川は言うとベッドに入りしばらくして目を閉じた。
『先生、こいつどっか悪いの?顔色も真っ青だったし手は冷たいし、それに少し震えてた。病院とか行かなくていいの?』
柳田はう〜ん。と渋い顔をしながら、ここだけの話なと前置きして言う。
『少し、心臓が弱いらしい。だから走ったりとか激しい運動も医師から止められてるみたいでな。まぁ。詳しくは言えないが、体育とかも制限があるみたいだ。』
『後はやっぱり転校してきて間もないから緊張からくるストレスとかかな。
お前も席が前後だから気にかけてやってくれ。』
後は副担任に任せるから教室戻っていいよ。そう柳田に言われ廉は保健室を後にした。
顔真っ青だったな。
彼女の顔を思い浮かべ廉は眉間に力が入る。
驚かせてしまったみたいだし戻ってきたら改めて謝ろう。
そう思いつつ教室に向かった。
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