永遠に

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永遠に

『おめでとうー!』 『おめでとうー!!』 祝福の花びらが新郎新婦の頭上で舞い散る。 海での誓いの日から数年後、2人は沢山の人に祝福されて挙式をあげた。 『廉ー!おめでとう!!』姉の愛が泣き笑いで叫ぶ。 『泣くか笑うかどっちかにしろよ。』廉は愛の顔にハンカチを当てる。 『花音ちゃん!うちのチビお願いね!おバカだけどいい奴だから。』愛が花音に抱きつきながら嗚咽(おえつ)をもらす。 『はい。あの、愛さん。今日からお姉さんって呼んでいいですか?』愛を抱きしめながら花音は問いかける。 『愛ちゃんでお願いぃぃ。うわ〜ん。おめでとう!』 泣き笑いの愛は、谷崎さんにバトンタッチして花音を救出する。 『廉君、おめでとう。本当に。』 『ありがとう谷崎さん。今までもたくさん。ありがとう』廉は頭を下げる。 谷崎は涙ぐみながら『今日の廉君は一際(ひときわ)輝いていてオジさんには眩しいよー』と言いながら愛を抱き寄せ連れていく。 きっと、谷崎を兄さんと呼ぶ日がそう遠くない未来くるような気がする。 母の正子は父の写真を両手に持ち、先程から来賓者に挨拶している。正子の目元は赤く晴れており、式の間中愛よりも泣いていたのを廉は知っている。 正子の近くでは、柳田が大号泣で男泣きしており花音の叔父である匠がハンカチを渡している。 廉は花音の肩に触れ、匠と柳田の方を指差して2人で手を振る。匠は満面の笑みで応え、柳田は泣きながら両手を振って応えた。 『廉!花音!おめでとう!』 和希と美和の2人が花吹雪を廉達に向けて投げる。 『孫にも衣装って言いたいけど、さすがはLen、今日はオーラがすごいよ。』廉の肩を叩きながら美和は言う。 『ありがとな。美和。花音の事も色々。感謝してる。』 『美和ちゃん。ありがとうね』大きな目に溢れそうな涙を浮かべながら花音は美和に抱きつく。『化粧落ちちゃうぞ〜』と美和が言いつつ花音を抱きしめる。 『花嫁様は、お色直しの時間ですので、こちらへ』式場のスタッフが来て花音は美和と一緒にその場を後にした。 『廉』 和希は廉に向き直る 『花音と幸せにな。』 和希は廉の横に立ち、体ごとぶつける。 『ありがとう。お前が俺の親友で本当に感謝しかない。』 廉は和希に頭を下げる。 和希はそっと廉の肩に手を置き『良かったな』そう告げた。 『それでは、花嫁様のブーケトスです!』 『花音こっちー!』 『花音ちゃんー!こっちー!』 女性陣の中の美和と愛の声が一際(ひときわ)響きわたる。 『せーのー!!』 花音の投げたブーケが空を舞う。 雲ひとつない晴れた空に色とりどりの花が。 まるで空がキャンパスのように。  廉は花音の笑顔を目に焼き付ける。 花音の側に行き、耳元でささやく。 『花音、愛してる。永遠に』
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