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『それより、和希学校は?遅刻だけど大丈夫なのか?』
和希は呆れた顔をしながら
朝登校中に、廉が転けて足を挫いた事。
榊の病院に連れて行く事
担任の柳田に電話済みである事を廉に伝えた。
もちろん、足は昨日痛めた事を知った上でだ。
『で?柳田は自分が行くぞ!みたいな事はなかったのか?』
仮にも担任である。小学生に任せる話ではないように思う。
『そうか!委員長の病院なら安心だな!紫悠を頼んだ!』だって。担任としてはどうなんだろうな。そう和希は諦めたような顔で言う。
柳田らしいな。
廉達の担任である柳田は、一見適当かつ放任主義に見えるが実は熱い男で決めた事は貫く主義だ。
橘 芽衣のせいで他のクラスの子が不登校になった時も、担任でもないのに毎日足繁く通い根気強く話を聞いて彼女を復学させた。
不登校の理由を語らなかったため橘達を突き詰めるわけにもいかず、ただ傷ついた生徒に向かいあった。
廉は、彼女が不登校である事を後になって知った。その理由も後になって知り、人知れず何も出来なかった自分に後悔した。
復学した際に彼女が1番恐れていたのは、また同じような目にあう事だった。
『みんなにお願いがある。』
ある日の朝のHR、柳田が教団に立つ。
『先生は、このクラスのみんなが大事だ。もちろん学校全員大事だか自分のクラスの生徒はより大事だ。』
『そこで、みんなにお願いがある。
人を傷つける人にはなるな。
力でも言葉でもだ。
力の暴力は体に、言葉の暴力は心に深い傷を負わせる。
これは犯罪だと先生は思う。
特に心は目に見えない。しかし、ついた傷はなかなか塞がらない。
これは、された人にしか分からない事だ。
傷つけられる側にも、傷つける側にもなって欲しくない。
先生は、みんなに犯罪者になって欲しくない。
それがどんなに小さい傷だとしてもだ。』
だから。と続ける
『もし、傷つけられた側になった時は先生に相談して欲しい。親でも兄弟でもいい。
みんなに間違って欲しくないのは、傷つけられる事に正当な理由なんかない。
間違うな。
絶対に。
傷つけられていい人なんていないんだ。』
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