不穏な空気

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『明日は、グリーンdayだから水筒忘れずに持ってくるように。』 『うわー今月は6年かー』 『やだー肌が焼けるー』 『ゴミあんまりないといいよなー』 クラス中から不満の声があがる。 『こらー自分達の街の海を綺麗するのは当たり前だろー。自然を汚してるのは人間なんだから綺麗に戻さないとな』 『汚すのはよそから来た奴らじゃん!』 『そうだよねー』 『バーベキューした後のゴミとか、花火のクズとかペットボトルとかさー』 『もうー本当やだー』 『とにかく、1時間できる限り清掃する! 全学年やってんだから文句言わないー』 じゃあ、明日水筒必ず持参する事。と柳田は念を押して教室をあとにした。 『クリーンdayって、何?』 花音が後ろの席から紫悠の背中をトントンとつつく。 廉は体を横に向け顔は花音の方に向ける。 『あぁ、花音は始めてだよな。簡単に言うと海の砂浜を綺麗に掃除すんの。ゴミとか拾って。全学年が交代制でやるんだよ。 うちの学校の伝統?みたいな』 『海!行けるんだ。楽しみー』 花音は嬉しそうだ。 『いや、結構ゴミ捨てて帰っちゃう人いるから取るの大変だし、日差しもあるから疲れるぞ』 『大丈夫!私お掃除好きだから』 花音はニコニコ笑っている。 『えー俺、掃除全般きらいだわ。』 廉はウンザリした顔で言う。 『和希が1番大変だよな〜委員長だから集めたゴミの仕分けの指示とか遊び出すやついるから注意したりとか。』 『担任が真っ先にバテるからな。あの人、本当にすぐ腰やるから。役に立たない。』 和希は眉間にシワをよせてウンザリした顔をする。 『先生、腰悪いの?』花音は心配そうに和希に聞く。 『年寄りは腰にくる。が口癖だからあの人。 でも、たまに体育に参加する時は1番元気だから本当はダルいだけじゃないかと思うよ』 和希は苦笑いする。 『とにかくあんまり期待しない方がいいよ。 ゴミの多さにウンザリするかも』 廉は花音に念を押す。 『うん。分かった。でも海初めてっー』 やはり花音は嬉しそうだ。 『分かってないじゃん。』と廉達は笑い、 花音も笑う。 3人の仲良さげな雰囲気に周りの子達も花音に話しかける。 『緑川さん、海初めて見るの?』 『軍手2枚にするとケガしないよ。』 『タバコ見つけたら先生呼ぶんだよ。』 花音の周りに人が集まり、少しずつ花音の表情も柔らかくなっていく。 クラスに溶け込めるといいな。 廉と和希はアイコンタクトでお互い頷いた。
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