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プルプルプルっ!!
廉が自宅に帰りリビングに行くと自宅の電話機が鳴っている。
廉の家では母と愛は携帯を持っているが、廉はまだ小学生なのもあり携帯を持たない。
そのため母や愛から廉宛に何かある場合は、家に電話し出ない場合はメッセージを残すようにしている。
廉は受話器を取り『紫悠です。』と答える。
『紫悠!家についたか!』担任の柳田の声だ。
『どうしたんですか?先生。』
『お前、緑川知らないか?』
柳田の声はかなり慌てている。
『緑川、いないんですか?』
『放課後、下校してるのは委員長が見てるんだが家に戻ってないんだ。』
『えっ!!』
廉は時計を見る。すでに19時をすぎる頃だ。
『緑川のお母さんが帰宅して気づいたみたいで、ランドセルもないから戻ってないんだ』柳田が言い終わらないうちに、廉は玄関に走り出した。
『廉!!』
玄関を勢いよく開けると、こっちに走ってくる和希が見えた。
『和希、花音がいない!』
外に出るとシトシト雨が降り始めている。
『とにかく、学校の先生達とかも探してるから俺達も心あたりを探そう!』
廉は和希と走り出す。
道すがら、花音の名前を呼びながら探す。
前に花音と行った小さな公園にも姿はなく、学校に戻ると柳田が校門に立っていた。
『先生!』
廉達は柳田の元に走る。
『お前達、来てくれたのか。
まだ、見つからないんだ。今、校長先生が警察に連絡してる。緑川の自宅には親御さんに待機してもらってるから戻り次第連絡がくる。お前達も心配だろうが、家に戻りなさい。』
柳田は心配いらない。必ず見つかるから。そう廉達に告げる。
花音は、引っ越してきたばかりだ。
この前も、2人でいた公園を『こんな場所に公園あったんだね』と言っていた。
行く場所なんて限られてるはずなのに。
海だって初めて今日行ったばかりだ。
花音どこにいる?
どこだ?
海。。。
『和希!花音、海への行き方を聞いたって言ってたよな?』
廉は思いついて和希に問う。
『聞いたけど、まさか1人で行く事はないだろうし、この時間だよ。女の子1人でいるとは思えない。』
『先生!違うかもだけど、もしかしたら今日行ったクリーンdayの砂浜かもしれない。』
廉は柳田の腕を掴む。
『分かった。車出してる先生達がいるから連絡してみよう!』柳田はそう言うと携帯を操作していく。
雨が本降りになってきた。
廉達は、学校の玄関の屋根に移動する。
花音、濡れてないだろうか。
寒くないだろうか。
廉は振り続ける雨を見ながら花音が無事である事を祈る。
やけに時間を長く感じる。
さっきの公園に戻ってみようかと廉が思い始めた時、柳田の携帯が鳴った。
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