あったかい気持ち

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お母さんの手作りだって言ってたな。 宝物だって。 花音は学校を出て家路に向かう。 だが、橘の泣く声が頭から離れない。 私がよく見てなかったから。 たぶん、あの時落としてしまったんだろうな。 花音は、自分とぶつかった事で橘の髪留めを無くしてしまった事に責任を感じていた。 行けるかな。 さっき榊君に行き方は教えてもらったし、少し探してみてダメなら橘さんに明日謝ろう。 よし。 行ってみよう。 花音は家の方角とは逆に向いバス停へと急ぐ。たぶん持ち合わせている小銭で行けるはずだ。と花音は、足早に向かった。 ザッパ〜ン ザザザ〜ン 学校で来た時とは違い、すでに海辺は薄暗い。人がいない海がこんなに暗いとは。ちょっと薄気味悪いな。 花音は、ちょっと怖がりながら砂浜へ降りる。 たぶん、あの辺りだよね。 昼間、橘とぶつかったであろう場所に行く。 とりあえず、探してみよう。 花音は砂を払いながら髪留めを探し始めた。 どれくらい時間が経っただろう。 かなり暗く、気温もだいぶ下がってきている。 ケホっ。 ケホっ。 いけない。体が冷えたのかな。。。 思っていたよりも砂浜の気温が低い。 昼間は暑いくらいだったのに。 ケホっ。 花音は咳が深くなるのに気づき、あと10分だけと決め手を動かす。 ポタ。 花音の頭に雨が落ちてくる。 いけないっ。濡れたら体力を持っていかれる。体も冷えてるし、早く帰ろう。 そう思い立ちあがろうとした瞬間、グラっと体が前のめりに倒れた。 つつっ。 ケホっ。 ゲホっ。 思っていた以上に昼間の作業で体力を奪われていたのか花音は起き上がる事ができない。 どうしよう。 体が思うように動かない。 お母さんに心配かけちゃう。 ハァ、ハァ、ハァ。 花音はゆっくり呼吸をするが、早くなるばかりで次第に体を保つ余裕もなくなった。 苦しい。 ハァ。 お母さん。 『花音!』意識が途切れそうになる瞬間、花音を呼ぶ廉の声が聞こえた気がした。 紫悠君。。。。 花音は廉の名前を呼びながらその場に倒れた。
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