出会い

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父が亡くなり、廉は一時期殻に閉じこもり学校にも行けなくなった。 その間も姉の愛と和希だけは、廉の側にただいてくれた。和希は、腫れ物にさわるような周りの目と違い、ただ毎日廉の所に来て話をして帰っていった。 母の正子とはうまく話せなくなり、自分から距離を取るようになった。 それも自分が悪いのだ。 いつも笑顔が絶えない母だった。 それを奪ったのも自分なのだ。 愛が高校生1年の夏、東京の叔父夫婦の所に遊びに行った際に、街で谷崎と出会いスカウトされた。 愛はおそらく家のためにモデル業をしているのだと思う。母の負担を減らせるように。 週末、東京へ片道2時間かけて行き仕事をこなし帰ってくる。 本当なら遊びたいだろうに、愛は何も言わない。自分がやりたいからやるのよ。聞いてもきっとそう言うだろう。 でも廉は知ってる。 愛は動物が大好きで、動物関係の仕事をしたがっていたのを。
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