15.魔族の会合に家族で向かうよ

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15.魔族の会合に家族で向かうよ

 巣を作ってぐっすり眠った次の日、お母さんが来た。子どもの僕は、たくさん食べないといけないの。大きくなるのに必要なんだよ。だから、ご飯のお肉だった。  生のまま食べたけど、ベル様が焼いてくれた方が美味しかったな。今までは生が当たり前だった。こんなに味が違うなんて。そう思いながら食べ切る。別に不味くはないの。  あと、ほんのり温かいお肉は美味しい気がするよね。ぺろりと顔に付いた血を舐めて、汚れた手を水で洗った。水溜まりの端に穴があって、お水はそこから消えていく。山の中に染み込んで、どこかから流れ出るみたい。  さらに次の日はお父さんが来た。いきなり僕を抱っこして、頬を擦り寄せる。それからベル様と睨み合って、尻尾をしょんぼりさせた。たぶん、ベル様に負けたんだと思う。可哀想だから頭を撫でてあげた。 「お迎えにあがりましたぞ、魔王陛下」  お父さんを撫でていた僕は、上から聞こえた声に驚く。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんだ。お母さんも一緒だった。縦に穴が空いた洞窟の上は、空が見える。僕も飛べるようになったら、上から出入りしよう。  お祖父ちゃんが降りようとして、空で止まった。変なの、不思議そうな顔で空中を踏んでいる。ベル様がぱちんと指を鳴らした。途端に、足の下がなくなったみたいで、お祖父ちゃんが落ちてきた。どしんと尻から落ちるけど、直前に羽ばたいた。 「天井を作ったことを忘れていた、すまん」  ベル様は雨が降っても濡れないように、透明の屋根を作ったんだって。そういえば、引っ越してきた夜に魔法の絵をいっぱい描いていた。思い出した僕は頷く。 「魔法だ」 「そうだな」  僕を抱っこしたベル様は、お祖父ちゃんの背中に乗る予定だった。でもお尻を強く打ったので、代わりにお祖母ちゃんが乗せてくれる。ドラゴンは全員、風の魔法が使えるんだ。魔力をえいって出せば、空を飛べる。仕組みは知ってるけれど、僕はまだ小さいから無理だった。  本当はベル様を乗せて飛びたいけど、今は片足乗せても潰れそう。しょんぼりしながら、お祖母ちゃんの背中に乗る。ベル様が乗って、僕を後ろから抱っこしてくれた。 「そうしょげるな、ウェパル。魔王の伴侶として、俺を乗せて飛ぶのだろう? きちんと飛び方を教えてもらえ」 「うん!」  頑張る。僕はお祖母ちゃんの使う魔法をじっと見つめた。風を集めて、自分の下に叩き込む。風が逃げないようにする方法は、あとで聞いてみよう。空で待ってるお母さんと合流し、追いかけてきたお父さんも一緒に。  灰色の雲が低い空を、どんどん舞い上がった。雲を抜けると、上は晴れている。冷たい風が襲ってきた。それをベル様は抱っこで守ってくれる。温かくて気持ちいい。 「お祖父ちゃんは?」 「後から追いかけてきますよ」  お祖母ちゃんがそう笑って、加速した。強い風だけど、ベル様がいるから平気だ。見えてきたのは雲を突き抜ける高さの山だった。全部で三つ、頭が見えている。 「下りますよ」  お祖母ちゃんの注意で、がしっと爪を立てて前屈みになった。前にお祖父ちゃんに振り落とされちゃったから。今度は落ちないぞ。気合いを入れて、雲の切れ間を睨んだ。
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