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26.足の間の何かが気になるの
夕方にお家へ帰る前、お父さんと約束した。お月様が欠けて暗くなる日は、家族と過ごすこと。泊まりに来るか、僕のところへ泊まりに行く。
ベル様がいいと言ったから、僕は頷いた。お父さん、お母さんと一緒は嬉しいよ。それにお祖父ちゃんやお祖母ちゃんも。僕は家族と過ごすのも好き。でもベル様も大好き。
僕に優しくて、強くて綺麗で。ベル様は痛いのも消してくれる。魔王様じゃなくても大好きだよ。お家の洞窟まで魔法で移動する。すごいよね、目を閉じて開いたらお家なんだ。
今日は雨も降ってないし、寒くないから屋根がない場所で寝るの。前に作った木の下の巣だよ。ベル様が魔法の屋根を被せてくれたから、濡れてないの。飛び込んだら、ベル様に回収された。
「ダメなの?」
「先に布を敷くから待ってろ」
ばさっと布が敷かれて、僕はその上に寝転んだ。綿がない巣だけど、たくさん干し草があるから平気だった。ベル様は僕をぽんと放り投げた。巣の上に着地して寝転がる。隣にベル様が座った。
もそもそ四つ足で近づいて、えいっと抱きつく。ん? 手の下に何か……。
「ウェパル、こっちだ」
首を傾げた僕を抱っこして、ベル様は移動させた。お腹の上に乗せてもらったけど、さっきのは何かな。足の間に何かあった。気になって振り返るけど、優しい手が背中を撫でてくれる。
尻尾の付け根を刺激されると、もぞもぞしちゃう。気持ちよくて擦り寄って目を閉じた。ぽんぽん叩いたり撫でられたり、繰り返す間に眠くなった。お湯を溜めたお風呂は、明日用意してもらう。今日はこのまま寝るみたい。
夢の中で、僕は何かを掴んだ。そっと手を退けられたけど、あれって眠る前のやつかな?
朝の光が眩しくて目が覚めると、湖で顔を洗う。その間にベル様がお風呂にお湯を溜めてくれた。お洋服を脱いだベル様が僕を抱っこして入る。向かい合って抱っこされた僕は、視線をそっと下へ向けた。足の間にある何か……じっと見るがお湯が揺れて分かりづらい。
息を吸い込んで潜る。近づいたそれに手を伸ばしたが、触る前に戻された。
「ぷはっ」
「ウェパル、何をしている」
少し怒ったような声に、僕はしょんぼりした。素直に気になるのだと話す。そうしたら見てもいいけど、触ったらダメだって。すごく繊細な場所みたい。ドラゴンの尻尾の付け根みたいな感じかな? 触られるともぞもぞして気持ちいいやつ。
あれ? 気持ちいいなら触っても平気じゃないの? そう尋ねたら、今はダメと返された。大丈夫な時とダメな時がある。注意しよう。真剣な顔で頷いた。
見せてもらったら、なんだか満足した。ベル様が僕に秘密で隠すから気になったんだね。お風呂で温まって、今日は果物を食べた。毎日食べなくてもいいけど、ベル様のあーんが好き。それに早く大きくなってほしいと言われた。
僕、お父さん達みたいな大きなドラゴンになるね!
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