海とオリオンと王冠

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 2週間の旅は、最終日を迎えた。  いつものようにだらだらと過ごし夕飯も食べ終えたが、空港に向かうにはまだ早く、浜辺を散歩することにした。  小野は海の水をバシャバシャと蹴って遊んでいる。俺はサンダルといえど足を濡らしたくないので、波を避けるように迂回する。やや距離ができてしまった。  長い影はせわしなく形を変えながら、俺になにかを訴える。逆光で表情はわからないし、声も届かない。  でも、なんとなくわかる。  きっと、これが人を好きになるということなんだ。自覚した瞬間、なんだか胸が締め付けられた。  気づけば小野は観光客らしき女性となにか喋っている。どうやら写真撮影をお願いされたようで、何枚も快く応じていた。中東系のふくよかなその女性は、被写体として申し分ない笑顔をきめている。だが小野はgoodやniceを連呼し、プロカメラマンばりに彼女の自然な笑みを引き出す。  後ろを向くよう指示したり、動画を撮るから適当に歩くよう促したりと、女性も嬉しそうだがこいつが一番楽しんでいる。  撮り終えた後は、「綺麗な夕日だね」とか「どこから来たの?」といった会話で盛り上がっているのを近くで聞いていた。 「ね、マヒロさん、俺たちも撮ってくれるって!」 「え?」  やっと俺の存在を思い出したかと奴を睨もうとすると、突然手を掴まれた。 「撮ってもらいましょ!」
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