12年前

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「涼太くんってさ、もしかして、太陽?」  滑り台の上に腰掛けた涼太くんを下から見上げ、私は最近芽生えた疑問をふと口にした。ブラブラと揺れていた彼の足がぴたりと止まる。  初めて出会ったあの満月の夜から一年が経過していた。だから単純計算で、今日は十三回目の逢瀬の夜。  満月のたび私たちはこうして公園に集い、精々一時間弱だけど、何気ない会話をする仲になった。 「あぁ。『太陽みたいな人』ってこと?」 「それもあるけどそうじゃなくて、本物の」 「……なんでそう思うの?」  なんでと言われれば、理由はいろいろだ。  まずは彼の言う通り、太陽のような人柄と見た目。明るくて温かくて、今まで出会った誰よりも純真で。  闇夜に映える白肌も、月というには少々眩し過ぎる。  それから彼は自分のことをあまり話したがらない。学校のことも家のことも、彼の口から彼の素性が明かされたことはほとんどなく、知っているのは音楽好きだってことぐらい(私の知らない歌をしょっちゅう口ずさんでいる)。  だから何かしら事情があるんだろうとは以前から推測していたが、彼が本物の太陽なのだとしたら、その点も綺麗に辻褄が合う。  何より一番の理由は。 「だって、夜しか会えないから」
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