11年前

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 涼太くんと出会って二年とちょっと。月に一度のお月見デート?もこれで二十七回目だ。  彼と会える日はいつも待ち遠しくて、嬉しい。でも同時に少しずつ欲張りになってきた自分にも気付く。  たとえば、お昼にも会ってみたいとか。 「お待たせ。涼太く、ん……」  あまりの美しさに言葉を失った。  今日の彼はジャングルジムのてっぺんに座り、歌をうたっていた。いつにも増して小さい、儚すぎる声だけど、確かに聴こえる優しいメロディー。  相変わらず何の曲かは分からないけど、月明かりに照らされた横顔を見るだけで息が詰まりそうなほど苦しくなる。これを恋じゃないと否定することなんて、とっくの昔に出来なくなっていた。 「……素敵な歌だね」  歌が終わったであろうタイミングで伝えると、涼太くんは「来てたんだ、果南」と言って、自身の隣のジャングルジムの骨組みをパンパンと叩いた。こっちに来いということだろうか。  よいしょっとジャングルジムを登り、五〇センチほど離れた隣に腰掛ける。すると彼は「それじゃ寒いでしょ」とすかさず拳一個分ぐらいまで距離を詰めた。  緊張を悟られないよう、風音に紛れてこっそり唾を飲む。 「りょ、涼太くんってさ」 「なに?」 「太陽ではなくても、陽キャラではあるよね」
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