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二人との出会い
家を出て春佳はいつもの待ち合わせ場所に向かう。
そこには弥生と薫がいた。
「春佳、おっはよー!」
弥生が大きく手を振る。
毎朝やるので恥ずかしいが、弥生らしいとも言える。
「おはよう」
「おはよう、春佳ちゃん」
薫が控え目に手を上げた。
「あっ、その宝石どうしたの?」
薫は春佳が鞄に付けているココの宝石を見て指差した。
弥生もつられて見る。
「えへっ、ちょっとね」
春佳は恥ずかしそうに言った。
ココの説明だと宝石がなくても春佳を見守れるのだが、綺麗だし持ってきたら良いことがありそうだと思い、鞄につけたのだった。
弥生はココの宝石を触れる。
「綺麗だね……」
『きゃはっ! くすぐったい!』
「ちょっと、大声出さないでよ」
春佳は目に見えない精霊に注意した。
その様子に弥生と薫は首を傾げる。
「春佳ちゃん……誰に言ってるの?」
薫は不安げな表情を春佳に向ける。
確かにココの声は二人には聞こえてないようだ。
このままでは可笑しな人だと思われかねないので、誤魔化すことにした。
「ごめん独り言よ、気にしないで! それより今日って何月何日だっけ」
「やだなあ……こんな大切な日を忘れるなんて春佳らしくないよ」
弥生が春佳を小突く。
「いやいや、緊張し過ぎて忘れちゃったよ~あはは」
春佳はとぼけた。
「今日は三月二日で、念願の卒業式だよ! 輝ける新生活への一歩に必要な道!」
弥生は迷いなく言ってくれた。
弥生は嘘はつかないので、彼女の発言を聞く限り、昨日に戻ったと実感する。
「教えてくれて有り難う、学校に行こうか」
「オッケー!」
春佳を先導に弥生、薫と続いた。
上手く話を誤魔化せて良かったと春佳はほっとした。
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