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満天の星空へ向かって、力いっぱい咲いた花たち。
赤、青、白、黄色…。
あの空を照らす星たちには届かないけれど、二人であげた星たち。
小さいけれど、たしかに咲いた花たち。
いや、もはや自分たちの手で小さな星を創り出したのかもしれない。誰にも引き離せない、僕らだけがずっとずっとそばにいられる星を。
少なくとも二人の目にはそう映った。
最後の星が数秒の寿命を終えて、草の上にピンクの光を落とす。それが火の粉となって消えたとき、やっと二人は顔を見合わせて笑った。
心の奥底の、さらにその根っこのところから一緒に笑った。
「あたしたち、最後まで一緒にドジしちゃったね…!」
赤くなった鼻筋をこするカホ。ツン、と火薬の残り香が鼻をくすぐる。
「ああ…」
ショウイチの返事はあれだけ笑った後なのに、やけに素っ気なかった。かと思えばショウイチは真面目な表情でカホに向き直り、握った両手を突き出す。
その手の中に、カホは何か光るものを見つけた。
「実はさ、昨日花火の他にも探してたものがあったんだ」
ショウイチはまるで油を差していない時計のように、固い指を一本ずつ放していく。
ショウイチが持っていたのは、オレンジ色の花の髪かざりだった。
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