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どしゃ降りのあの日、あの子と一緒に雨宿りしたトタンの小屋はもう、次の世代の子どもたちに発見されて、根城になっている。今はもうショウイチのものではない。
全てが、ショウイチの世界の全てが変わってしまった。
いや、元に戻ったというべきなのか。
あの子がこの町を去って以来、そのことが話題になることは学校でも一度もなかった。ショウイチの身の周りから、「あの子」の存在を証明するものは何ひとつなくなった。
もしかしたら、「カホ」なんていう女の子は、初めから世界に存在しなかったのかもしれない。記憶の中の思い出は全部、思春期にありがちな単なる妄想。真夏の幻。脳の外に出すのさえ恥ずかしい黒歴史だったのかもしれない。
「カホ…カ、ホ、…」
その名前を口ずさんでみても、まるで夢の中で聞いた言葉のように現実味がなかった。
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