7人が本棚に入れています
本棚に追加
駿の想い
「どした?ママになんか言われた?」
ベッドから降りて、なぜだか正座してる駿の隣に座り、顔を覗き込む。
と、駿は少しだけ後ろにズレて
「そんなんじゃねぇけど」
やっぱり、歯切れが悪い。
「ちょっと待って」
普段は折りたたんでる丸いミニテーブルを広げて、駿の前に置く。
これでたぶんお互いに、距離が取れることで安心するはず。
「お茶、持ってこよっか?」
立ち上がると
「や、いいよ、すぐ済むから」
駿に手で制された。
「…そう?」
改めて駿の…少し離れたところに座る。
と言っても、すぐそこなんだけど。
「…あの、さ」
言いかけてから、言い淀む駿。
そんなに言いにくいことを話そうとしてるのかな。
まさか、もうあたしに飽きた…とか?
いや、そこまで付き合うみたいなこと、なーんもしてないよね、だって、いままでと、ほとんど変わらない毎日だもん。
あ!だからヤなのかな、男の子だし、なんていうか、その…男女っぽいことしたいとか?
…って思っちゃうあたし、下品?!
駿が口を閉ざしたままだから、いろんなことが頭の中を駆け巡る。
「やっぱさ、話した方がいいかな、って」
「…へっ?」
「隠しごとしてるみたいだろ、このまんまじゃ。どーも落ち着かねーし。瑠羽といて、なんも悪ぃことしてないのに、してんじゃねーかって気にもなっちゃうし」
駿てば、まだ正座のまま。
それくらい真剣に考えて、悩んでたんだろうな。
「隠しごと、してるといえばしてることになるもんね」
「だろ?それが落ち着かねーの、どーも定まんねーっつーか…」
座りながら、もじもじしてる。
「足しびれたなら、膝崩したら?」
「あー、うん」
膝を崩した駿は
「ふ、ぅ」
ため息をついて
「やっぱごめん」
その場にどさっと寝ころんだ。
「駿?」
びっくりして声を掛けると
「緊張しすぎただけ、つーか、考えすぎて疲れちった」
「それわかる、あたしも」
だからって、隣に寝ころぶのは違うな、と思って、あたしは同じとこに座ってた。
最初のコメントを投稿しよう!