再会

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再会

 ピッピッ。プオップォッ。ヴォン、ヴオォーン。  窓の外が、懐かしい――。 「うっさいなぁ、もう」  その音で目が覚めたのは夏休み初日だった。そして――。 「おはよう。パン焼く? 早くしないと遅刻するわよ」 「うん。ねぇお母さん、朝からバイクの音うるさくなかった?」 「えっ、そう? 聞こえなかったけど。鳴り止まないあんたのアラームの方がうるさかったわよ?」  大学を卒業した私は今年、地元に戻ってきた。  生徒として通っていた高校に、司書として戻ってきた。あの頃生徒として入り浸っていた図書室に、司書として入り浸っている。そして、あの頃と同じように、お気に入りの一冊が見つかると、屋上でひとり、じっくりゆっくり、読んでいる――。  夏休み初日の午前中、生徒は3人来た。出来れば午後は誰も来ないでほしい。せっかくの夏休みなんだから、部活を頑張ったり、友達と遊んだり、デートをしたり、青春を謳歌したら良い。学校の図書室で過ごす夏休みなんて――。  母が作ってくれた弁当と本を持って向かった昼休みの屋上。扉の鍵はあの頃から壊れたまま。その鍵の開け方はおそらく、私だけが知っている。あの頃も今も。  扉を開けるとそこには――。 「(あかね)! やっぱり来た」  高2の夏休みを共に過ごしたあなたが居た。 「……え?」 「あーかねっ」 「……え? 夢? ここどこ? 天国? 私死んだの?」 「屋上だよ。茜、大丈夫?」  高2の夏休み最終日に、バイク事故で死んだあなたが――――。  着崩した制服を身にまとい、鼻と耳にピアスをぶっ刺した、金髪のあなたが、そこに居た。あの頃と変わらないあなたが、あの頃と変わらない笑顔で、私の名前を呼んだ――。
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