虎穴06 虎達の猛追

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 彪仁が伊織のナカへ入ってくる。  あっという間に伊織はいっぱいに満たされた。 「…ぁぁ、彪仁さん…っ」 「伊織…大丈夫か?」  彪仁は、そのまま暫く動かず、伊織の身体を包み込んだ。  愛しい伊織と繋がって、彪仁の心は満たされる。 「伊織」 「……はぃ」 「俺はもう、伊織を手放せそうにない…」  伊織も溢れるほどに満たされて、  彪仁からそんな風に囁かれると、色々な感情が溢れだす。  声が出ず、言葉にならなくて、  自分の腕を彪仁の首に巻き付けて、心の内を伝える。  どれほどそうしていただろう、  焦れてきたのか、伊織の中がきゅっと締まる。 「…伊織。中が締まった」 「………わかり、ません。もう…」  それだけ絞り出した伊織の瞳が、欲情を灯しながら彪仁を煽ってきた。  抱きしめられたまま、ぐっと奥まで抉られる。  彪仁に包まれながら、疼くナカを穿たれて、  久しぶりに愛された体は、彪仁の熱を貪欲に搾り取ろうとする。 「…っん、…ぁあ」  だんだんと伊織の吐息に甘さが増す。  彪仁は、伊織の足を抱え込み、角度を変えて穿っていく。  最奥に先端が触れると、伊織の腰が跳ね上がった。 「っやぁ…っ、ソコっ、むりっ」  同時に、凶暴的に伊織が彪仁を締め付けてくる。 「…っ、は 伊織っ」  堪らず伊織を最奥まで貫くと、伊織の顎が上がる。  見えた首筋に齧り付くと、 「んぁ…っ、だ…っ」  伊織は、弱い首筋に噛り付かれ、体中に痺れが走り、脳が蕩けた。  同時に彪仁の楔を絞め殺す勢いで締め上げて、身体が震えた。  久しぶりの逢瀬は、伊織の何もかもを白く染め、  そのまま達して意識を手放した。  彪仁も、思わぬ伊織の反応に耐えられず、膜越しに己の欲を吐き出す。  暫く余韻が続き、彪仁も動くことができなかった。  伊織を見つけてから今日まで、女を抱くことがなかった。  その気にもならなかったし、する気も起きなかった。  愛しい伊織の身体をしっかりとその手に抱く。  伊織の白く柔らかい肌が密着すると、それだけで互いの体温で癒着するように溶け合った。 「伊織」  身体が未だ、歓喜で震えている。  やがて、伊織の静かな寝息が、火照る彪仁を沈めていく。  ようやくこの手に抱いた伊織をそのままに、  彪仁も、そのまま深く堕ちていった。 □◆□◆□◆□  翌朝、だいぶ日が昇った時刻に、  伊織はいつもと違う空間で目が覚めた。 「……………ん」  伊織は、起き上がろうとしたのだが、  何か重たいものが身体に乗っていて、身動きが取れない。  もぞもぞとその重たいものをどかそうとしていると、  がばっと何かに身体が包みこまれ、首筋に熱い吐息がかかる。 「っひゃぁっ」  思わず変な声が出た。 「…………ん、いおり」  首筋に顔を埋められて、彪仁に囁かれ、囲われた腕がさらに狭まる。  その温もりを感じてようやく、自分が彪仁に抱きしめられていると、  寝ぼけた頭が理解した伊織だった。
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