名前で呼んでほしい

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「冬奈は疲れてない?実家を手伝っているんだろう?」 「和菓子作りは好きなので、大丈夫です」 そう答えると、塩見さんの顔が険しくなった。 「どうしたんですか?」 「いつも冬奈は甘えてくれない」 「え!?」 「俺のこともずっと塩見さん呼びだし、弱音も吐かない。俺は頼りない?」 「いや、えっと・・・塩見さんが頼りない訳では・・・」 「成紀(なるき)」 「へ?」 「成紀と呼んで欲しい」 「成紀さん・・・」 成紀さんが満足そうにしている。 掴めない性格に対応が難しい。 「もっといつでも甘えて欲しい」 「冬奈の願いなら、どんなことでも力になる」 そう言って、成紀さんは少しだけ笑った。 もう食事はデザートに入り、終盤になっていた。
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