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デートしないか?
一週間後。
私が家の手伝いで和菓子を作っていると、売り場から声がした。
お母さんが厨房に小走りでやって来る。
「冬奈、塩見さんが来てくださったわよ。接客して頂戴」
「え!」
私は急いで売り場に飛び出した。
「久しぶりに冬奈の和菓子が食べたくて来てしまったけど、大丈夫だったかな?」
「大丈夫です。でも、成紀さんこそお忙しいのでは・・・」
「丁度休憩時間だったから、大丈夫だよ。これは冬奈が作った和菓子?」
成紀さんがある種類の練り切りを指さした。
「そうです!よく分かりましたね!」
「小さい頃、たまに冬奈の作った和菓子を食べさせてくれたからね。じゃあ、これを10個買ってもいいかな?」
「10個!?誰かに配るんですか?」
「いや、一人で食べるよ。冬奈の作った物ならどれだけでも食べられる。あ、けど、他のお客さんも買いたいかな」
「その前に10個は食べ過ぎです!体を壊しますよ!」
「心配してくれるのか?」
「10個食べるなんて言われたら、誰でも心配します!」
私は頬を膨らませながら、「2個で我慢して下さい!」と言い放って、和菓子を包み始めた。
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