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じいちゃんは、俺のことをこないだまで幼稚園生だと思っていた。俺のめざましい成長に、記憶が追い付いていないようだ。
だけど夏休みの間に急に身長が伸びた俺は、じいちゃんより背が高くなった。だからやっと「中学生くらい」に成長したんだ。
おめでとう! じいちゃんの中の俺。やっと、現実の俺と肩を並べられたな。俺は自分で自分の成長を祝福した。
じいちゃんは、喉の力が弱くて飲み込むのが上手くできない時があるらしい。
だから、食事の時は母さんがじいちゃん専用の食事を作っている。お粥の上に俺たちのと同じおかずをみじん切りにしたのを、3色どんぶりみたいに乗せたものだ。
お茶にはとろみの粉を混ぜて、むせにくくなるようにしている。
あんな、細かくて何のおかずなのかさっぱりわからないものしか食べられなくなったじいちゃんは、かわいそうなのか?
それとも、毎日おいしそうに自分でモリモリ食べているから幸せなのか?
「じいちゃんのご飯てさ、おいしいのかな?」
思わずつぶやいた俺に、母さんは胸を張って言った。
「実はね、意外においしいんだよ。一口食べただけで、いろんな味がするの。」
自分のお父さんでもない、父さんのお父さんであるじいちゃんの面倒をみている、俺の母さんはかわいそうなのか?
怒りながらも結構楽しそうにやっているから、特に不幸でもないのか?
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