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ノフィンが無防備になっているその隙にマルツは態度を豹変させてそしてそしてナイフでノフィンの腑を引き裂こうとした。
「ひゃーーーっはっはっは!引っかかりましたねお馬鹿さんっ!あの世で白馬の騎士さんでもやっていなさいっ!!!」
と高らかに狂った笑い声をあげる。
そしてそしてナイフもそう叫んでいるように先端がキラリと光る。
ガシッ!
マルツのナイフがある所で止められた。
それはそれはノフィンのみぞおちから数センチも近づいたところで止められていた。
チイチイだ。
チイチイがマルツの手首を力強く握っていた。
「芝居するならもうちょっとマシな芝居しいや、ノフィンの目は誤魔化せてもこのチイチイの目にはこんなん誤魔化せれへんで」
とチイチイが言った。
「お…おのれぇ…」
「浪速スクリューパンチ!!」
マルツが悔しそうに歯軋りしている間にチイチイの鉄拳が飛んできた。
「うゃーーーーぶはぁああん!!!」
かなりぶっ飛ばされるマルツ。
「チイチイ君…あんまりやり過ぎるのは可哀想だよ…」
「いんや、あの連中は激し過ぎるくらいが丁度良いんや」
ノフィンが辿々しく諌めるもチイチイはこう返した。
「ついでにあんさんもや!喰らえ喰らえ!」
「痛い痛い痛い!」
ついでにカースも痛ぶるチイチイ。
「戦いは終わったの…?」
とフットがヒョコッと顔を出して聞いて来た。
「おう終わったでこの通りや!」
チイチイは弱らせたカースマルツを見せつけた。
「うわぁまんまカースマルツゥだぁ…」とフットはそのまんま感想を述べた。
「すみません執事長…私も偉そうに言っておきながら精進が足りなかったみたいです…」
傷を引きずりミールが言った。
「仕方がない、弱みを握られたらそんなものさ」
ノフィンは爽やかな口調で言った。
「ありがとうございます、ケンノエを待たせているわ、外に出ましょう」
そしてミールは外に出る。
やはりケンノエは待ち続けていた。
「ケンノエ!」
『おおミール可哀想に、怪我しているじゃないか!』
ミールがケンノエを抱くとケンノエは翼を広げてミールを包み込んだ。
こうして見ると本当に人間が白鳥の着ぐるみを着ているようだ。
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