教えてもらう事※

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教えてもらう事※

 ギシリとベッドを鳴らして僕にのしかかって来る隼人さんは、何だか妙な表情をしている。一方の僕は今か今かと、隼人さんの教えてくれるだろう新しい経験に胸をドキドキさせていた。 「…洸太は本当に俺が初めての相手で良いのか?俺は勿論願ったり叶ったりだけど、洸太は…大丈夫?その好きな相手とかじゃなくて。」 僕は百戦錬磨に思える隼人さんが思いもしない事を聞いてきたので、少しびっくりして目を見開いた。確かに初めてだけど、好きな相手とすることに拘っている訳じゃない。それにそんな贅沢が言える様な僕の状況じゃないのは隼人さんだって知っているはずなのに。  「…大丈夫です。むしろ隼人さんで良かったっていうか。隼人さんじゃなかったらここまで思い切って行動できないと思うし。」 すると隼人さんはクスッと笑って、僕の長めの前髪をかき上げると、目を細めて僕を見下ろした。 「洸太は額を出した方がいいな。本来の優秀な印象が出る。就活の時は出していたんじゃないのか?人と話す時はその人なりの印象は大事だから、自分をカスタマイズするのも社会人のマナーだぞ。‥それに顔がはっきり見えた方が、こんな時にも楽しいからな。」  僕が返事をする間も無く、隼人さんの焦らす様な口づけが額、瞼、そして唇へと降りてきた。唇に触れ合った瞬間、僕はこのキスがずっと欲しかったんだと分かった。僕の唇を突いてなぞる隼人さんの舌を追いかける様に、僕も口を開いて隼人さんを誘った。 一度経験してみれば、それがもたらす気持ち良さに積極的になってしまうのは僕が欲望にまみれているせいなんだろうか。縋り付く様にキスを強請れば、返す様にもっと艶かしいものを与えられて、僕は頭がクラクラしてきた。  「まったく、こんな事にも優秀さを出すのか?直ぐに復習してくるのは良い生徒だが、まだこれから先は長いんだから、体力は温存しておけよ、洸太。」 そう甘く囁かれて、僕はすっかり張り詰めた自分の中心を隼人さんのそれに触れ合わせた。ああ、何とかして欲しい。思わず隼人の逞しいそれに手を伸ばすと、手首を掴まれて、でも僕の指先を使って隼人さんが自分のものをなぞった。 少し苦し気に息を吐き出すのを見つめながら、僕は拘束されたまま指を隼人さんの大きく張り出したそれに引っ掛けた。  拘束は緩んで、僕の指ですっかりぬるついた隼人さんの剛直は、ますますみっちりと張り詰めたのが分かった。 「あっ!んん゛っ!」 いきなり僕の高まったそれを#扱__シゴ__#かれて、ビクンと身体を震わせた。隼人さんはいつの間にか僕の手から逃げ出して、僕の身体を味わいながら、僕の胸の先端に唇を押し付けた。いきなりジュッと吸われて、ビクンと快感が走る僕の身体は恥ずかしい程淫らだ。  胸の疼きに身体をくねらせて逃れようとしても、隼人さんが逃してくれるはずも無かった。少し強引な隼人さんのその胸への愛撫は、只々僕を喘がせた。 しかもヌルついた隼人さんの指が僕の窄みにグッと入ってしまっていて、僕はその両方から攻められて隼人さんの盛り上がった肩の筋肉を掴むしかなかった。  「ああぁっ、きもちいいっ!‥んはぁっ!」 もう自分が何を言ってしまっているのかなんて余裕がある訳もなく、ただ自分の中に隼人さんの指が何本も増やされてることが感じ取れるだけだった。 「…洸太の中、キツくてうねってる。この中に挿れたら、きっとすげぇきもち良いだろうな。」 そう耳元で甘く誘われて、僕は馬鹿みたいに首を振って懇願していた。 「ああっ、挿れてっ。もう、辛いっ!」  気持ち良さが苦しさと裏表だと、隼人さんと肌を触れ合わせてから知った。僕は果たされないその絶頂への途中で只々焦れた。もう、ひと想いに知らない世界へ連れて行って欲しかった。 ぐったりとした僕をうつ伏せて、隼人さんはもう一度僕に冷たいジェルを垂らしたみたいだった。いよいよ、僕に隼人さんを挿れるんだ。僕が強張ったのが分かったのか、隼人さんは背中に優しくキスして言った。  「大丈夫、俺上手いから。無理矢理とかしないから安心しろ。ゆっくり息吐いて…。 僕は擦り付けられるその重量感にドキドキしながら言われたまま、ゆっくり息を吐き出した。それは違和感よりも、圧迫感の方が強くて、僕は少し呻いてしまったみたいだった。 直ぐに隼人さんが僕の首に唇を押し当てて、僕が気を逸らした隙にグッと入った気がした。その安堵感というか、達成感にホッとしていると、隼人さんがクスッと笑った気がした。  「洸太、気を抜くのはまだだ。これからだから…。」 そう言われて直ぐにゴリっとジレつく様な場所を擦られた気がして、僕はビクンと背中を震わせた。それは始まりに過ぎなくて、指で鳴かされた場所をグリグリとされた僕は、シーツを握って隼人さんが与えてくれる快感をひたすら味わった。 動きが速くなった気がして、そろそろフィニッシュなのかとぼんやりした頭で呻いていると、耳元でまた低い声で囁かれた。 「全部挿れるから…。」  それは思わず目を見開いてしまう言葉だった。それを理解する前にグッとお腹の中を押し上げられて、僕は苦しさで呻いた。けれど、隼人さんのものがグチグチと出入りする度に、何だか切羽詰まった何かが確実に身体を焼き始めていて、僕は聞いたことのない自分の嬌声を味わう羽目になった。 同時に前を大きな手で擦られて、僕はもう待ったなしで駆け上ることしか出来なかった。頭の奥がスパークするような絶頂は僕の身体を絞って、隼人さんを締め付けていた。  隼人さんの呻き声が響いて、何度も腰を突き出す隼人さんと一緒に逝ったのを感じた。それは何だか物悲しい様な、安堵する様な、何とも言い表せないもので。 僕は目を閉じながら、瞼の奥が濡れるのを感じた。ああ、何だこれ。
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