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「いいんだけどな。」ガッツーゾは独りごとを言った。 「静かに。」アリンコのジョリーがささやく。 「ラクダが目を覚まします。」キリギリスのヴォイスも言う。 「ぐっすり寝ているようだけど。」ハリトカゲのハリィが言った。 「そう、ラクダの眠りは深いから、簡単には目を覚まさない。」ハツカネズミのビリーがタバコに火をつける。彼の案が通ったのだ。 「そういう情報は早く言えよ。」ガッツーゾがガツガツと言った。 「それがお願いする立場か。」ビリーがすぐに言い返す。 「お願い?」ガッツーゾは思わずムッとする。 「ちょっと、やめてよ。」ジョリーが間に入った。 「仲間割れしてる場合じゃないです。」ヴォイスも首を振る。 「ちょっとやりすぎ。」ハリィでさえ、二人に言った。 「こいつが生意気だからさ。」ビリーが言う。 「おまえにこいつ呼ばわりされる筋合いはないね。」ガッツーゾが反論する。 「あたしたちは、作戦中なのよ。」ジョリーが静かに諭す。 「そう、この作戦が嫌なら今すぐに帰ってもいいですよ。」ヴォイスは笑みさえ浮かべている。
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