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夜の雲間から月が光を放つ。砂漠にはサソリとアリンコとキリギリス、そしてラクダがいる。いや岩に隠れているハリトカゲとハツカネズミも忘れてはいけない。月は上から彼らの様子をじっと見ている。ラクダは一匹だけ、無防備に眠っている。元々砂漠には大きな敵は存在しない。昼間は熱く、夜は寒すぎるからだ。その温度差にほとんどの生物はやられてしまう。そして砂漠の真ん中で一人たたずむというのは、考えてみたら孤独なはずである。だけどこのラクダは意に介しないようだ。堂々と砂の上に独り体を横たわらしている。
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