和江

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午後の始業が 始まろうとしたとき 部屋へ  営業部部長の 片桐が入って来た  「前田君 今朝出社して 確認したら   今月の会議スケジュール 全て届いていた どうしたの?」 前田は 余計な事をしたと 言いたそうに  渡部をちらっと見て口を開こうとする片桐が  「助かる スケジュールが一目で解り 見やすい」  「今まで 週末にこちらから 確認して 返事待ちだったのが  動きやすくなり 各課も スケジュール表を見ることで   スムーズにできる 総務は こうでなければ」  前田は 満面の笑みを浮かべ  「営業のサポートが 総務の仕事ですから」と答えた 一日が終わり退社時間となり 渡部はパソコンを閉じ 帰り支度を始め お先にと 席を離れ駐車場に向かう姿に まだ残っていた 社員達は 渡部の後ろ姿を見て  こそこそと 今日の渡部の仕事ぶりを話始めていた 駐車場を出た渡部は 市内の百貨店にいた  百貨店の駐車場に車を入れ  迷わず紳士小物売り場へ向かった (・・帰って ゲーム・・・) 財布と名刺入れを 見て 迷わずレジに  すぐ使うから そのまま 下さい 現金を払った (・・5万円 何?使うの? どうなっているの?俺?・・) エスカレーターで上の階へ 紳士靴売り場へ 向かった (・・・俺?・・何で???・・) 靴を 眺めていると 奥の売り場で 男子社員と女子社員が  渡部を見て 話しているのが見え  渡部の 服装は 何時も仕事で着用するスーツだが  ひじの部分は 白く みすぼらしく 映る 女子社員が 声を掛けてきた  「お気に召したお履き物 ございましたか?」 低価格の 靴売り場へ それとなく 誘導しながら 話しかけてくる 渡部は 無視して 奥の方へ進み 高価格帯の 靴を眺めていると  「お気に 召したの ございます?」 店員がまた声を掛けてきた  (・・これ 10万? 高いな・・・見ているだけ・・・)
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