和江

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「この 靴見せて」 店員が スツールの前に持ってきた (・・・見るだけなのに・・この娘可愛いな・・) 足を入れ 鏡の前に立つ 靴は軽く足にフィットして  鏡の中の渡部はくたびれた スーツと光る靴で  まるで ピエロの様な姿だった 「これ 良いね これの茶色有るかな?」 (・・・オイ!!・・見るだけでしょう?・・) 「ございます 今お持ち致します」  店員は 奥に消え後を追うように  男子店員も入って行くのを見ながら 靴を眺めていると  「こちらに成ります」 店員がスツールの前に靴を置いた  渡部は 足を入れ 立ち上がり履き心地を確かめ  「さっきの黒い靴 2足有るかな?」店員に尋ねた (・・・????・・・) 女子社員は 首を少しかしげながら  「はい 在庫はございます」答えた 「さっきの黒い靴今履き替えるから それとこの茶色と黒三足をもらおうか」 (・・・30万??・・今月の給料より・・・) 「包装は 要らないから 袋に入れてくれるだけで 良いよ」 (・・・本当に・買うの?・・買うの?・・えっーー・・) 女子社員の黒く長い髪の中の小顔が 明るくなり  「ありがとうございます」と答え  身長は160位か 今風な顔立ち  どこか日本的な 切れ長の目が印象的だった (・・今月の給料より 高いよ・・明日から毎日カップ麺・・) 財布からカードを出す これで (・・俺のじゃ 無い・・) 店員は カードを 預かるとレジに消え 暫くすると  「お待たせいたしました」 女子社員と男子社員が 靴とカードの端末を持ってきて こちら 暗唱番号を お願いします端末を差し出された (・・・えっ・・番号知らない?・・・) 端末を受け取り 4桁の番号を 押す 端末からレシートが吐きだされ (・・何?・何?・・????・・) 「ありがとう ございます」 男子店員は 前田に 一瞥を投げかけ  丁寧な言葉を使い カードを返してくる 奥へと 男子店員が消え 女子社員は  「この度は ありがとうございます」と頭を下げ 「こちら 今お召しになる 靴です」足元へ靴を差し出した 足を入れながら  「この靴 処分お願いできるかな?」 (・・捨てるの?・・まだ・履けるよ・・・) 脱いだ靴は 履いている時は 靴 脱いだ今はゴミの様に  売り場の明かりの下に置かれていた 女子社員が 微笑みながら  「はい かしこまりました」答え 靴を売り場奥へ 持っていった 女子社員が 二つの袋を抱えて 渡部の前に立ち 差し出しながら  「クリームとウエス 入れて有ります」  「どうぞお使いください」と言った 受け取り 「ありがとう今日は何時まで? 良ければ食事でも?」 軽く話しかけた (・・ナンパするの? 俺・・・) 少し 間が 空き 8時に 終わります 「前の 喫茶店で待ってる」 袋を受け取りながら 渡部は言った (・・・俺・・どうなってるの???・・)
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