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私の頭にはそんな未来のことしか浮かんでこなかった。
そうだ、このポイントで久しぶりに詩子になにか奢ってあげよう。
最近距離ができていたけれど、これを見れば詩子だってきっと考えを改めてくれるはずだ。
このアプリがどれだけ素晴らしいものか、わかってくれるはずだ。
そう思うと楽しくなって、自然と鼻歌が出てきたのだった。
☆☆☆
朝食の席での父親の小言は相変わらず続いている。
1度私がゲームで稼ぐと口走ってしまってからは、更に小言の頻度が上がってきた気がする。
両親は私がプロゲーマーで食べていくつもりでいると思っているようだけれど、それは少し違う。
私のしているゲームは現実世界とリンクしているから、ゲーム画面を見ている時間はとても少なかった。
当初ハマっていたパズルゲームをしている時間よりも、はるかに短い。
「行ってきます」
「雛、まだ話が終わってないぞ」
父親に呼び止められてもどうでもよかった。
100万円稼ぐにの何ヶ月もかかる人の話なんて、聞いていたって意味がない。
私は高校を卒業したらさっさと家を出てひとり暮らしをしたかった。
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