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「あれぇ? 今日は1人じゃん」
声をかけられて振り向くとそこにいたのは玲香だった。
玲香は最近更にひどい見た目になっていて、顔も洗わず歯も磨かずに登校してきているみたいだ。
そのため近くで話されると匂いがする。
「なに?」
私はしかめっ面をして玲香を見つめる。
玲香がこんな風に話しかけてくることなんてなかったはずだ。
「知ってる? 詩子は最近雛の悪口を言いふらしてるよ」
「え?」
視線が詩子を探す。
詩子は今日も私以外の生徒と仲良くおしゃべりをしている。
「いいの? このままほっといて」
玲香のねばつくような笑みが気になったけれど、詩子をほっとくわけにはいかない。
ここまでゲームを続けて来られたのは、詩子の存在も大きい。
できればまた、一緒にゲームをしたかった。
「ちょっと、詩子と話をしてくる」
私はそう言って自分の席を立つ。
詩子に近づいていくと、なぜか警戒したように後ずさりをされた。
もしかして今私の悪口を言っていたんだろうか。
聞かれちゃまずいから、離れた?
「どうして逃げるの?」
「別に……」
詩子は視線をそらす。
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