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ふと気が付いた。
隣の席に座り授業を受けている雪白さんの首元に、ほくろがあることに。
「石墨くん、どうかした?」
「いや、何でもないよ」
そう、と雪白さんは小さく声を零すと、背筋をピンと伸ばして、黒板へと視線を戻す。
ほくろは、大きくはないが、小さくもなかった。普通ならさほど気にならないだろうが、雪白さんは肌が白い。そのせいか、そのほくろは大きさ以上の主張をしていた。
それにしても、僕はちょっと疑問を抱いた。どうして、そのほくろに気が付けなかったのか。
その疑問は、次の授業で解消した。
雪代さんの首元からほくろは消えていた。どうやら、化粧道具を使って消しているらしい。
そういえば、ほくろに気が付いた前の授業は、体育だった。汗か何かで化粧が流れてしまったのだろう。
僕は少し優越感に浸る。
雪白さんは、クラス、いや学校で一位二位を争う人気者で優等生だ。男女、先輩後輩、先生生徒、保護者などなど、とにかく区別なく人気者だ。
そんな人気者のみんなが知らないであろう一面を知れた。ちょっとだけ気分が上がるってものだ。
まあ、そういう感情を抱くことが気持ち悪いって思われるのは確実なので、絶対に口に出したりはしないけど。
少し気分が上がったせいか、突然始まった小テストも、難なく解けた。
さらに気分が上がった。
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