新、呑兵衛・夏凛と缶助の酔いどれ探偵捕物控 陸

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「お義父様、お義母様、お爺様、お婆様 お願いがあります!」 缶助が頭をベッドに擦り付けながら 父さん達に懇願した。 「何だね?急に改まって」 「僕は、探偵という仕事が好きです、 困っている人達に手を貸して解決する 夏凛さんとこの仕事をして来て生き甲斐すら 感じています、お義父様が探偵ごっこと言われる 事に僕は責任を感じています、僕が未熟な 為にご迷惑をおかけしています。 そこで僕からの提案を聞いていただきたいです」 「何だ?その提案と言うのは?」 「僕達の探偵としての仕事は終わりにしますが 僕を呑辺財閥のSPに加えて下さい。 近藤隊長の元で長谷川さんや加納さんのように 強い男になりたいと思います。 僕は、夏凛さんを守る為に生まれて来たと 自分で思っています、夏凛さんの他にも 僕には守りたい人がたくさんいます。 どうか、お願いします、僕の願いを 聞いていただけないでしょうか」 「君は、夏凛と一緒になりたいのだろ?」 「はい、その気持ちは今も変わっていません」 「夏凛と一緒になると言う事は私の後を継ぐ と言う事だ!SPなどとは関係ないだろ!」 「いえ、関係あります、心も身体も鍛え直し 何があっても夏凛さんはもちろん、 僕と繋がりのある人達全てを守って行きたいと 思います!どうか、僕のお願いを聞いていただけないでしょうか!」 缶助が言った言葉に私の涙腺が緩んでしまった。 『私を守る為に生まれて来た』 その言葉に感動して思わず母さんに抱きついて しまった。 「夏凛、あなたは幸せ者ね、母さんだって お父さんにあんな事言われた事ないわよ」 「そうね、私も同じよ」 「私も!」 母さん、お婆様達も私と一緒になって 感動してくれていた。 「あなた、缶助君の進言聞いてあげたら?」 「そうね、呑辺家の男性達に缶助君の様な 事を言える人いないものね」 「加瀬の家でも同じですよ父親にしても息子にしても、気の利いた事ひとつ言えないですからね」 缶助はいっぺんに女性陣を味方につけてしまった 父さんもお爺様達も何も言えなくなった様で 咳払いなどして誤魔化していた。 「ただし、缶助君!SPに入る前に 夏凛と式を挙げてちょうだい、あなたの 護りたい人が自分の妻になれば無茶も 出来ないし、自分のことも大切に出来る、 だから、私の言う事を聞いて夏凛と 世帯を持つ事、それが条件よ、 良いですよね、お父さん、お爺様達も」 「わしらは、別に反対などしておらん、 そうですよね加瀬社長」 「ええ、私も会長と同じです」 「お父さん達まで、これじゃ僕ひとりが 悪者になっているじゃ無いですか!! まあ、なんだ、将来は私の後を継いでもらうからな、いいね缶助君」 「はい、ありがとうございました!!」 父さんとお爺様達に頭を下げ 今度は向きを変えて母さんとお婆様達に 頭をベッドに擦り付ける様に下げていた。
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