10人が本棚に入れています
本棚に追加
そこにりんが缶助のスリッパを咥えて持って来て
私の足元に置いた。
次に台所に行って缶助のエプロンを引き摺りながらまた私の足元に置いた。
りんも缶助がいなくなった事がわかっているようで、私の顔を見ながら「ワン」と、ひと吠え。
「りんちゃん、あなたも現状がわかっているのね
私と一緒に缶助を探してくれる?」
そう聞くと私の顔をペロっと舐めてくれた。
そうして、私は本来の自分を取り戻し、
もう一度依頼書を見直し、何か手がかりがないか探す。しかし、何度見直しても手掛かりなど出て来ない、見つからない。
どうしたものかと考えていたら
ふと、今までの事件の事が思い浮かんだ。
「一応今まで解決して来た事件を振り返って
みるか」そう思い、缶助が解決した事件を
見直す、と言っても彼が手がけた物は
私が誘拐された事件だけ、あの時の犯人は、
『剣持孝彦』、剣持の家族は両親はいない...
妻もいない、兄弟?一つ違いの弟が1人いるようだ。名前が『剣持孝信』前科2犯現在刑務所に
服役、出所予定が9/20。
9月20日?!予定通りならば一ヶ月前に
出所している。
チョット確認してみるか。
あの時、私に事情聴取しに来た刑事は
木戸刑事だったな。
すぐに所轄に電話して木戸刑事をお願いした。
少し時間も遅かったが木戸刑事はまだ仕事をしていた。
「木戸刑事、お久しぶり!夏凛です」
「夏凛さん!ほんとにお久しぶりお元気でしたか?今日はどうしたんですか?突然に」
「実は、私が誘拐された時の犯人『剣持孝彦』
の弟で『剣持孝信』が先月府中刑務所を
出所したかどうか、それをお聞きしたくて
電話しました」
「剣持孝彦の弟で孝信ですか?チョット待って下さいね、今調べますから...............
あっ、ありました、そうですね、10/20に
府中刑務所を出所してますね、
孝信には兄(孝彦)の事件は知らせていません
ですから、出所して知る事になるでしょうね
それで?孝彦が何か?」
「いえ、あの犯人に弟がいて当時服役していたことを思い出しまして、予定通り出所したのかな
と思いまして、また何かあったら
嫌ですからね、チョットお聞きしてみようと思いましてね」
「そうですね、あいつらは兄弟仲だけは
いいそうですからね、我々も奴には目を光らせていますから、夏凛さんにはもう手を触れさせませんよ、安心して下さい」
「そうですか、ありがとうございます
私も気をつけます。ちなみに孝信は今
どの辺に住んでいるんですか?」
「都内の高城町と言う町に住んでいると聞いてますが?それが?」
「いえ、何でもないですこれからも守ってくださいね、木戸刑事」
「はい、任せておいて下さい」
「突然に失礼しました。これからもよろしく
お願いしますね」
何となくきな臭くなって来たな、
高城町、依頼の住所と同じ、明日からあの一帯を
くまなく調べてみるか
「缶ちゃん、もう少し待っててね
今度は私が助けに行くからね」
缶助の携帯に話しかけた。
「りん、缶助を助け出すからね。
あんたも私の助手なんだから手伝ってくれるね」
「ワン!ワン!」
私が言った内容がわかったかのように「りん」が
男犬のように吠えたのがすごく逞しく思えた。
最初のコメントを投稿しよう!