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時刻が17:00ここまでは何事も無かった。
張り込んでいる間に、うちの会社のSPの隊長、
近藤さんに電話をする。
事情を話すと、1人こちらに向かわせてくれると
言ってくれた。前に来てくれた、
『人間ツアーリボンバ』の異名を取る
長谷川さんを向かわせてくれたのだった。
そして、17:00を少し過ぎたところで
タクシーで、張り込んでいた私のところまで
来てくれた。
「お嬢様、お待たせしました!隊長から話は聞いています、それで?ターゲットは来ましたか?」
「まだよ、まだ誰も帰ってこないの」
長谷川さんと、そんな話をしていた時
タクシーが一台アパートの前に止まった。
中から男が1人降りてアパートの中に入って行く
すかさず携帯で倍率を上げて写真を撮る、
タクシーは、そのまま待っているようだ。
と言うことは、また出かけるのだろう、
待っている間写真を見直してみる、
何処となくあの『剣持孝彦』に似ている。
「長谷川さん!あの男に間違いないわ
剣持よ!剣持孝信に間違いないと思うわ」
「そうですか、タクシーを待たせているから
また乗って何処かに行くのでしょうから
タクシーの後をつけていきましょう、
お嬢様、僕が運転変わりましょう」
「そう、それじゃお願いするわ」
長谷川さんと運転を変わってもらい
剣持が乗ったタクシーの後をつけて行く。
タクシーは古びた工業地帯へと入って行く、
工業地帯の奥には大きな倉庫が立ち並んでいた。
古い倉庫の前でタクシーが止まった。
剣持が降りてタクシーは走り去る。
「お嬢様、僕が奴の後をつけていきます。
そして中の様子を探って缶助さんがいるか
見てきます、お嬢様はここで待機していて下さい
中からお嬢様の携帯にワンギリしますから
そしたらすぐに警察を呼んでください」
そう言って長谷川さんは忍者のように倉庫内へ
消えて行く、
辺りはすっかり暗くなって来た。
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小さな裸電球が数個点灯しているだけの
薄暗い倉庫の中で奴の後をつける。
倉庫の奥に灯りが見えた、音を立てずに
近寄る、灯りの下には誰かが椅子に座っている
それは缶助さんだった。殴られて顔が腫れ上がっている、椅子に縛り付けられ身動きが取れないのだろう。グッタリしていて動いていない。
早く助け出さないとまずい事になりそうだ
しかし男の姿が見えない、何処にいるのだろう
そっと缶助さんに近づいて行く。
男がいた!椅子に座り何かを食べているようだ
テーブルの上に食料だろうか?たくさん
置いてある
足元にあった材木を今歩いて来た方に向かって
投げた。
ガン、ガンと大きな音がした、男は何事だと言わんばかりにこちらに走って来る、
物陰に隠れ、奴が目の前に来た時、
足をかけて男を転ばせた、倒れた男の横腹に
蹴りを入れる。男が苦しそうにもんどり打って
転げ回る、その時、『バーン』と激しい音と共に
俺の右腕に鋭い痛みが走った。
男は拳銃を所持しているようだ。
すかさず物陰に隠れた。
「誰だ!出てこい!!殺してやる!」
男が喚き散らかしている。
俺が隠れている所を目掛け拳銃を撃ってくる
腕からは血が流れてくる、急いでネクタイを
ほどき止血のため腕を縛り上げる。
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