会場で

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会場で

 「早く〜こっちこっちここのレストランの更衣室で着替えるのよ。はいここにある披露宴の衣装に着替えて。私は女子更衣室で着替えるから」 「わかった美紗子後で」 「さあ着替えましょうか?」 「えっ?母さんと祐樹が着替えの手伝い?髪の毛のセットも?」 「そうだよ。だって僕達モデルなんだから衣装選びのこの衣装だけど汚さないでくれよ!これ仲がいいスタッフから借りた衣装なんだから〜。さあ兄貴とりあえずこの衣装に着替えてズボンの丈も兄貴の実家にあるズボンに合わせておいたから大丈夫だと思うんだけど、着替えたらこの姿鏡の前に立ってみて」 「まぁ〜よく似合う。男前だよ〜こんなに立派になって」 「か、母さん泣くなって〜は、恥ずかしい」 「何だかねー。歳がねー。涙脆くてね〜」 「さあ、兄貴僕達披露宴後に新宿のロケ地に行かなければならないから延長されると困るんだよ。初めての親子共演のドラマなんだから穴を空ける訳にはいかないからね!」 「わかった。だから新宿まで来たの?ついでに?」 「美紗子さんが提案したのよ。プランAをね。 美紗子さん電話で泣いてたんだから。直樹と少しでも一緒にいられると思ったし、直樹が喜んでくれると思ったのにって。ここなら料理も美味しいし周りには家が建ってないから騒いでも大丈夫だろうからって。  社長とは偶然この店の前を通った時、美紗子 さんが目撃したらしいの。  社長がこの店から出て来て深刻な顔をしていたのを思い出して、もしかしたらプランAに使えるかも知れないと思って私に直樹の会社の電話番号を教えてほしいって言われてねー。直樹の会社の社長さんはとても気さくでいい人だから〜即答で「いいよ。夜なら大丈夫だ。その日の夜は予定ないしな」と言ってくれたそうよ」 「じゃあ全て美紗子が考えたの?」  「そうよ。いい奥さんになるわよ。直樹には勿体無いくらい頭が切れるしっかりしたお嬢さんだわ」 直樹は「は、はは〜。確かに頭がいい女性だけど〜新人教育までやるなんて〜」 「直樹!何言ってるの!新人教育とか忙しくて美紗子さんどころじゃないのよね?だから願い叶えてくれたんじゃないの!」 「そうだよ。兄貴〜美紗子さん可哀想だろう?せっかくアメリカから帰国したのに兄貴と一緒に居たくて二週間も休み取ったのに。前から兄貴は女性の心がわからないよな〜。美紗子さんお気の毒に〜」 「本当、本当!」 「よし、丈はぴったりだね。はいそこに座って髪の毛僕がいつも使ってるムースこんなダサい髪型駄目だね。もっとここをこうしてとりあえず髪の毛を遊ばせるか〜自由にねナチュラルに」 「遊ばせる?髪の毛を?」 「あー兄貴〜面倒くさいから説明したくないわー。兄貴は真面目だから〜仕上がったらそこの鏡で見ればわかるから」 15分後 「えっ?この髪型?俺若くないし俳優さんとかイケメンとかに似合いそう恥ずかしい。母さんおかしくないかな?」 「ま〜かっこいいわ〜、母さんもう言葉がないわ」 「だ、だから母さん泣くなって恥ずかしい」 「さあ後は軽くお肌を整えてうん、いい感じそろそろご対面しますか〜美紗子さんのウエディングドレス素敵だわきっと」 直樹は隣の女性更衣室で着替えている美紗子に声を掛けた。   「美紗子〜準備できた〜?入るよ〜」 「いいわよ直樹〜」 直樹は美紗子が着替えに行った更衣室のドアを開けた。  そこには美しくまるでお伽話から出て来たようなお姫様のような女性の姿があった。  直樹は「綺麗美紗子はいつ見ても綺麗だけど今日は一段と美しい」 「直樹〜恥ずかしいそんなにジロジロ見ないでよ〜恥ずかしい」  「じゃあそろそろ行こう」 「ちょっと待って里奈もいるんですけど〜忘れられてるけど僕もいまーす。合同結婚式ですよ〜」 「そうだった〜美紗子しか目に入らなくてごめん」 「木原さん私はどうですか?ドレス?似合います?」 「う、うん。。綺麗だよ似合ってる」 「な、何ですか〜言いにくそうな感じは?」 「ビューティフル里奈僕の女神」 「ありがとうマイケル。マイケルだけよ〜そう言ってくれるのは〜」 「そろそろ行きましょう。皆さんお待ちかねよ」 直樹 マイケル 美紗子 里奈 祐樹 美子 幸江の七人は披露宴会場に向かった。 そして会場の扉を開けると来てくれた四人の友人達は四人を盛大な拍手で迎えてくれた。  暗い会場に扉を開けるとレストランの従業員達も協力してくれて電気を演出で一部の電気だけをつけてくれた。  四人は感激して涙が溢れた。
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