レストラン

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 次の日、直樹と美紗子は近くのロイヤルホテルに向かった。たった一泊の新婚旅行だが二人は、心弾ませていた。  レストラン厨房の試験を見届けてからでもよかったが、試験の邪魔になると困るし二人は三田に伸び伸びといつも通りに料理を作って欲しかった。美紗子は「じゃあ三田さん試験頑張ってね。結果後で知らせてね」そう言った。  そして直樹も「じゃあ普段通りに料理作ってれば大丈夫だから」そう言った。  「先輩、奥様ありがとうございます」 三田は二人にそう言った。 この時、美紗子はとても素直でいい子だと三田の事を思い。 直樹は料理好きの優しい人だと三田の事を思っていた。  二人はロイヤルホテルに向かうと 「きっと名の知れた料理人になるよ」 「三つ星料理人になるかもね」 そんな事をずっと話していた。 ロイヤルホテルのプールで泳いでいると直樹が言った。「あのさー結婚式のサプライズってさ〜初めに俺の親のロケがこっちにある事を知って〜それで来てくれないか?と祐樹と母さんに頼んで〜里奈ちゃん達と合同結婚考えて〜社長にも話して〜あそこのイタリアンレストランで結婚式挙げて〜ついでに新人教育しようと考えたの?」 美紗子は言った「そうよ〜だって新人教育が大事なんだもんね。引き継ぎとかも大変そうだし〜って社長に言ったらロイヤルホテルの券をプレゼントしてくれたの〜」 直樹は言った「美紗子は昔から行動力があるねー。社長にまで電話掛けるなんて」  美紗子は言った「私はアメリカから帰ったばかりよ。直樹と少しでも一緒にいたかったんだー」 直樹は「結婚式も無事済んだし、このロイヤルホテルの一泊はいい思い出になるよ。なんたって君はこれから忙しくなるからね。旅行なんて無理だろうしね。僕も今月しっかり働いたら主夫になるよ。今の僕は料理も掃除も完璧なんだからね。 仕事を辞めたら毎日料理や掃除の腕前を見せてあげるからね」  そう言うと直樹は笑った。 この時の木原直樹はとても優しい妻思いの夫だった。  美紗子も直樹をとても頼りにしていた。 こんな温かい家庭が少しずつ傾いていく事になるなんてこの時の美紗子は思いもしなかった。  そして夫を変えた人物の一人が素直で不器用な三田だという事をこの時二人はまだ知らなかった。  そして、料理好きな三田は直樹にとって欠かせない人物になっていくのだった。。。  直樹が変わっていくその日は少しずつ少しずつ近づいていた。
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