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一年後
木原直樹と美紗子が結婚してから一年がたっていた。
木原直樹は美紗子と結婚する時に約束した通りどこにも勤めずに家事だけをこなしていた。
家事の腕はプロ並みでいつも部屋の中は整理整頓され綺麗に掃除がされていた。
そして、料理の腕もフランス料理から和食から中華何でもプロ並みで美紗子は直樹にいつも感謝をしていた。
そしてあの一年前の結婚式の後直樹は美紗子に言った。僕達の子供がいつか生まれてくるその日の為にこの近くで家を建てよう。
生まれた後だと引っ越しも大変だからいいところがあると言い、直樹が貯めていた貯金で狭いマンションから少し離れた新宿の住宅街の土地を買いたいと美紗子に売地を見せていた。
新宿は、土地が高いが通勤も便利だ。そして
今のマンションより美紗子の妹夫婦や美紗子の母親の家にも近くなるそして目の前には少し大きな公園がある。
この場所に家を建てたい。それが直樹のサプライズだった。直樹が勤めていた会社の時まだ新人だった三田は直樹のサプライズに気がついていた。その為直樹は、喋らないようにと何度も三田に話していた。
その時の三田光はリニューアル相談を受けていたあのイタリアンレストランの試験に合格してまだ下っ端だが必死に仕事をこなしていた。
賄いが美味いと噂になっているイタリアンレストランは賄いもメニューに加えたらしい。その噂を聞いた直樹はきっと三田が作った賄いだろうと思っていた。
そしてこの日いつものように「美紗子今日は何が食べたいのかなー?そういえば美紗子最近吐き気がするし食欲がないとか言ってたなー。レモン粥なら食べられるかな?仕事忙しいから胃が悪くなったのかな?今日病院に行くとか言ってたけど?変な病気じゃないといいけど?」と夕飯のメニューを考えていた。
その時、玄関のドアを開ける音が直樹には聞こえてきた。
「美紗子か?いつもより帰りが早いけど?病院行って真っ直ぐ帰ってきたのかな?」
直樹がそう思い、玄関のドアの近くに行くとドアを開けた美紗子が嬉しそうな満面の笑顔でこう言った。
「直樹〜直樹〜直樹お父さんになれるよ」
直樹は少し考えてから「って事は〜美紗子〜赤ちゃんができたんだね。最近吐き気がするって言うのは〜」
美紗子は言った「つわりだったみたい」
直樹は言った「よかった〜。美紗子に似て賢い子供が生まれるかもね」
美紗子は言った「あなたに似て優しい子供が生まれるかもよ?」
直樹と美紗子は子供好きだったのでこの日は喜びに満ちていた。
妊娠を直樹に報告した後、美紗子は直樹に言った。「子供ができた事は二人が望んだ事だからとても嬉しい。でも私一年も育休なんて取れないし、普通のお母さんみたいに行事とか出られないかもしれない。
私の会社の育休は妊娠八ヶ月から育休とって生まれてから半年なの。だからまだ小さい赤ちゃんを置いて仕事しなければならない。子供に寂しい思いをさせたら可哀想だとも思うの。直樹に育児のほとんどを任せる事になるのよ。大丈夫?直樹」
その言葉を美紗子から聞いた直樹は言った「美紗子僕は初めから育児もするつもりで主夫になるって決めていたんだ。だから大丈夫だよ。安心して出産して半年経ったら仕事に復帰しなよ。僕はね美紗子に好きな仕事で輝き続けてほしいんだ」
美紗子は言った「保育園に入れなくても大丈夫?」
直樹は美紗子に言った「僕は美紗子を支える為に美紗子と結婚したんだ。育児もしっかりやるよ。家の掃除もほら綺麗に行き届いているだろう?料理も今の僕は最強だと思う。育児も勿論やる為に主夫になったんだよ。保育園のお金が勿体無いその分貯金してうちの庭広いしブランコでも買ってあげようよ。
美紗子は「それはいいわね。直樹悪いけど家の事お願いします。育児あまり手伝えないけど、手伝える時は手伝うから」
直樹はにっこりと笑った。
これから楽しい育児が始まると信じて。。。
美紗子のお産
それが直樹が変わる始まりだった。。。
幸せだった美紗子の生活が少しずつ変わっていく事になるとはこの時、誰も知らない。。。
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