いざ、月明かりの下へ!

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いざ、月明かりの下へ!

 窓の外から見える、蒼い蒼い光。  今宵は満月。ならば、人間である自分でも十分夜目がきくことだろう。もとより、昨今の街は深夜であっても明るい。暗くて道に迷うようなこともないはずだ。 「……行くなら、今夜しかない」  俺はぽつりと呟いた。 「俺は自由になる。いつまでも、こんな檻の中に閉じ込められてたまるか……!」 「兄貴」 「!」  闇の中に響いた声。ぬ、と姿を現したのは、俺の双子の弟だった。 「兄貴、僕も一緒に行く。僕も、外の世界を見たいんだ」 「弟よ、しかし……」  外の世界は危険がいっぱいだ。弟もいつか誘うつもりではいたが、まずは兄である自分がしっかり偵察してからにするべきと考えていたのである。彼はまだ、安全な檻の中で守られているべきではないのか。一緒に連れていって、本当にいいのか。 「兄貴が行くところ、僕も一緒だ。どんな危険が待っていたって、兄貴が一緒なら乗り越えられる。そうだろう?」 「……いいのか?失敗したら、ただじゃすまないぜ?」 「承知の上さ」  深夜。月明かりの下、出会った兄弟。二人は頷き合うと、まずは木製の檻を掴み、その柵を乗り越え始めた。  障害物は少なくない。あの窓の鍵は開くのか。あの網を破ることはできるのか。  でもきっと、二人なら! 「さあ、行こう!」
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