第一章

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第一章

 クラスで浮いていると噂の深山(みやま)が完全に変わり者のレッテルを貼られたのは、プール開きの日のことだった。先生が頭を抱え、クラスメイトたちがぽかんと立ち尽くすなか、僕がおずおずと近づくと、 「なに? パラソルなら貸さないよ」  深山はリクライニングチェアを調整しながら答えた。ちょうど良い角度を見つけたのか、満足そうに寝転び脚を組む。偏光サングラスにつば広のUVカット帽子をまとう姿はさながらリゾート地にいる富豪のようだ。学校指定の赤ジャージを着ていなければの話だが。
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