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第四章
前を歩く深山の足が止まる。顔を上げると、そこには見慣れた風景が広がっていた。
「夜のプールってちょっと憧れてたんだよね」
「冗談だろ? 校長先生に許可もらったのか?」
「まさか。僕の独断による決行さ」
深山は入り口の南京錠をいじり、易々と扉を開けた。
「ここの鍵壊れてるって知ってた? 校長の職務怠慢だよね」
その時だった。ジリリリリと警告音のような音が耳をつんざいた。僕のズボンのポケットから深山が携帯電話を抜き取り、画面をこちらに向けた。
「ボクに任せてくれる?」
着信画面には“母”の文字。そういえば、もうとっくに門限を過ぎている。
「はーい、もしもし?」
僕が返事をするより早く、深山が応答ボタンを押した。
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